2012-06-29

音魂

古い友人から1枚のCDが届いた。

以前一緒にバンドを組んでいた事もある彼女は、現在1人でバンドを作るべくがんばっている。
元々ぼくなんかよりずっと音楽への造詣が深く、器用だけど不器用で、「人」への思いが人一倍深い人。
CDに収められた7曲は、ラフな録音の弾き語りばかり、しかし1曲も適当な曲はなく、しっかりと言葉とメロディーのある曲ばかり。
少し前に彼女の写真を撮った際、曲を作る事になった経緯を話してくれた。


ぼくも知っているとある人が、先日亡くなった。
有能なボーカリストだった彼を尊敬していた彼女は、その彼の為に出来る事を、ある有名な霊能力者に相談した。
霊能力者の答えは、「彼の為に曲を作る事」。
仕事が忙しかったりする中、霊能力者に告げられた短い期限内に7曲もの作曲をするのは、孤独な闘いだったろうな、と思う。
しかも、その目的はライブでもなく、販売でもなく、売名でもなく、もう居ない人の鎮魂でしかない。


出来たら送ってよ、と言ったぼくとの約束を守って、すこし長い手紙とともにきれいに梱包されて届いたCDは、彼女らしいなと思った。
(毎年、律儀に手の込んだ手描きイラスト付きの年賀状をくれる)
楽曲は、彼女特有のポップさを持ちながら、言葉が強く抜けて来る。
根がまじめで強い人なので、言霊というか、そういったものが歌に宿っているのがまざまざと感じられる。
そして生々しさも当然あるけど、きちんと楽曲として昇華されている。
誠実な音楽とは、この音楽を指さずして何を指すのか??
そんな事を思いました。


完成した音源を持っていったところ霊能力者はそれを「奉納」、つまり人前で演奏しなさい、と言ったという。それも何度も。そうすれば、思いはいつか故人に届くかもね、と・・。
なんだそりゃ、って正直思ったけど、でもぼくはこの霊能力者はいい人だなって思った。
そう言われたら、いい演奏を、ずっと続けていく他ないじゃんねぇ。
残酷な言葉ともとれるけど、本来ライブなんて、毎回死ぬほど、心を込めて一生懸命やんなきゃいけないんだよね。

そんなわけで、はからずも歩き出してしまった彼女を、これからも応援していきたい。
あやぴー、応援してるゼ!


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